アクアコミュニケーターの知恵
水と地球環境のはなし | Story of the global environment and water
中国頼みのペットボトルリサイクル

身のまわりには大量のペットボトルがあふれている。
ペットボトルは回収され、
- 自動車の天井や床、ユニフォームなどの繊維
- 卵パックなどのシート
- 回収ボックスなどの成型品
などに生まれ変わる。
そのことが、さかんにPRされているためペットボトルリサイクルはスムーズにまわっているように思われがちだが、実際はそうではない。
2010年度は、62万8000トンが回収されたが、国内でリサイクルされたのは、そのうちの24万2000トン。
国内でのリサイクル率は、38.5%に止まっている。
それ以外がどうなっているかというと、中国などに輸出されている。
海外に輸出される量は、33万トン(52.5%)にのぼる。
「廃棄物処理法」では、
「国内において生じた廃棄物は、なるべく国内において適性に処理されなければならない」
とされているが、具現化されてはいない。
回収されたペットボトルが輸出されると2つの問題が生じる。
1つは、
国内のリサイクルシステムが空洞化し、崩壊しかねない。
リサイクルを行う事業者の経営が不安定になり、処理を継続できなくなったケースもある。
もう1つは、
海外へ環境負荷を押しつけている。
現在は完全に「中国頼み」であり、仮に中国に引き取りを拒否されると、日本には使用済みのペットボトルがあふれかえることになる。
日本でリサイクルがすすまない理由の1つとして、
ボトルtoボトル
(ボトルからもう一度ボトルへ)
のリサイクルが進まないことを付け加えておきたい。
ボトルtoボトルには、
「ケミカルBtoB」
(使用済みペットボトルを粉砕、洗浄後、化学的に分解してペット原料に戻し、再びペット樹脂をつくる)
「メカニカルBtoB」
(使用済みペットボトルを洗浄、異物除去を行ない、もう一度ペットボトルとして利用)
の2種類があるが、「メカニカルBtoB」はほとんど行われていない。
諸外国では、「メカニカルBtoB」されたボトルも一般的に使用されているが、日本人は衛生意識が高いためか、洗浄されたペットボトルであっても、
「一度誰かが使ったものは嫌」
という意識が強い。
メーカーもその意向を反映して、「メカニカルBtoB」は行わない。
日常にあふれるペットボトルは、日本にはない石油資源でつくられる。
そして一度つかうと、その半分以上の処理を海外に依存する。
国内でのリサイクル率は38.5%。
洗浄しても、人が一度つかったボトルは汚いからつかいたくない。
なんかおかしくないか?
日本人は金にものをいわせた、ぜいたくでわがまなな消費者で、世界経済を支えているという側面はあるが、その行動を客観的に考えると、現実を理解していない愚かなひとたちに見える。