アクアコミュニケーターの知恵
水と地球環境のはなし | Story of the global environment and water
地球上の水のかたより
水は地球上にかたよって存在している。
世界を見渡すと、雨の多い国と少ない国がある。
日本はアジアモンスーン地帯に位置し、世界でも雨の多い国のひとつ。
海上も含めた日本の年間平均降水量は約1710mlで、世界の年間平均降水量(約970ml)の2倍と恵まれている。
おもな国ぐにの年間平均降水量は、
- フィリピン・・・・・約2360ml
- インド・・・・・・・約11700ml
- イギリス・・・・・・約10640ml
- アメリカ合衆国・・・約760ml
- オーストラリア・・・約460ml
- サウジアラビア・・・約100ml
なので、日本は比較的降水量が多いとわかる。
しかし、見方を変えると、狭い国土に人口が多く、1人当たりの降水量をみると、世界平均の4分の1程度で、決して豊富とは言えない。
また、日本で雨が降るのは、梅雨の時期と台風の時期に集中している。
それらの雨を年間を通して使うには工夫が必要である。
世界には、国境をまたいでいくつかの国を流れる川、国際河川がある。
国際河川が流れる国々では、上流の国が大量に水をつかうと、下流の国がつかえる水は減ってしまう。
たとえば、降水量の少ない中央アジアでは、淡水の多くをシルダリヤ川とアムダリヤ川の二大河川に頼っている。
2つの川の上流に位置するタジキスタンとキルギスは水を自由に使えるが、下流に位置するカザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタンは、上流の国ぐにの影響を受けている。
シルダリヤ川の上流に位置するキルギスは、冬場の水力発電に備えて夏場に水を蓄え、冬になると一気にダムから放出する。
そのためカザフスタンでは夏場に水が不足し、冬場に洪水に見舞われる。
このように国際河川の上流にある国が自分勝手に水を使うと、下流の国には大きな迷惑となる。
日本には、上流から下流まで国内を流れる川だけで、国際河川はない。
このため、水を使うときに他国との関係を気にする必要がない。
この点、日本はめぐまれているし、めぐまれているがゆえに水の問題にうとくなっている。