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遠州(いまの静岡県)水窪のお話です。
ふだんは一滴も水のない窪地に7 年に1度、突然水が現れて、10日間ほどで消えてしまう「池の平」という場 所があります。そしてわずか数日で水が引き、また元の地形に戻ってしまうた
め、町の人でも、この幻想的な光景に遭遇した人は少なとそうです。この不思 議な池には、こんなお話が残っています。
1569年、この土地を支配していた高根城の城主・民部少輔貞益は、信州 遠山土佐守と奥山美濃守の連合軍に攻め立てられて、城はたちまち炎につつま
れてしまいました。
城主の後室おかわ御前には3歳になる男の子と乳飲み子の2人の子供がい ました。おかわ御前は、激しい戦乱から小さな2人の子供を必死で守り、炎を
かいくぐって、命からがら城を抜け出しました。
ですが、すぐに追っ手がかかりました。
逃げ場を失ったおかわ御前は、水窪 川を横切って山を越えるという困難な道を選びました。しかし、水窪川の流れ は早く、男でも流されてしまいそうな勢いです。ましてやおかわ御前は両脇に
2人の子供をかかえているのです。それでもおかわ御前は川に入りました。し かし、えぐるように流れる激流を足元に感じ、すぐに子供ふたりを連れては逃
げ切れないと悟りました。おかわ御前は泣く泣く乳飲み子を川に沈め、3歳の 子供を背負い、必死に川を渡りきって、山のなかへ駆け込みました。
おかわ御前は、やっとの思いで池の平までたどりつきましたが、すでに一歩 も動くことができなくなっていました。そこへ追っての侍たちがやってきまし
た。草ムラで息を殺して潜んでいましたが、子供が疲れと恐怖のために泣き出 してしまいました。そして、無残にもふたりは殺されてしまいました。
7年に1度、池の平に水が湧くのは、おかわ御前の無念の涙が、数年ごとに 溢れ出るからだと言われています。
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池の平は静岡県水窪(みさくぼ)町にあります。
JR飯田線水窪駅で下車し、山道を1時間ほど登ります。前回、池の平に幻 の池が現れたのは、1998年10月2日でした。池の大きさは南北約50メ
ートル、東西約30メートル、深さは最も深いときで3メートルに達しました。 もともと水のない杉林のなか池ができるので、水中からニョキニョキと杉が生
えたようにも見え、とても不思議な光景です。
そのまえに幻の池がこの地に現れたのは、1989年のことでした。ですか ら、98年の出現は、伝承でいう7年周期より、2年遅れたことになります。
次に幻の池が現れるのは、伝承通りなら2005年になります。興味のある人 は、いっしょにいってみませんか。
ではなぜ突然、池が現れるのでしょうか。地下水が強い圧力を受けて一気に 押し出されてくるという仮説がありますが、はっきりしたことはわかっていま
せん。今後の課題として、調査してみたいと思います。
●池の平がわかるホームページ
遠州七不思議のひとつ「幻の池」池の平(池の画像あり)
http://www.maff.go.jp/soshiki/koukai/muratai/21j/no2/mura23.html
幻の池・池の平
http://www010.upp.so-net.ne.jp/igex/ikenotaira.htm
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