潮の満ち引きのはなし

 

 ぼんやり海を眺めていると、さっきまで見えていた岩場がもう海面にかくれているということがあります。潮が満ちてきたためです。この潮汐現象は、月と太陽の引力によって起こります。とくに月の引力が地球におよぼす力は特別大きく、月に面した地球の海面が大きく引き寄せられます。これが満潮で、地球の反対側も同時に満潮になります。そしてその間が干潮になります。ですから6時間ごとに干満を繰り返し、1日に2度満潮を迎えるわけです。

 これに太陽の引力が微妙に左右します。太陽、地球、月が一直線上にあるときは、互いの引力がプラスされるため、海面はさらに大きく引き寄せられます。これを大潮といいます。逆に、半月のことは太陽、地球、月が直角に並び、太陽が干潮部分を引き上げるので、満潮部分はいつもより低くなります。これを小潮といいます。普通、干満差は50〜80センチくらいですが、カナダのファンディ湾では16メートルにも達します。

 ところで、「モーゼの十戒」で知られるモーゼがエジプトから脱出するときに、紅海が割れて海の道ができ、追ってきたエジプト軍が渡ろうとすると海は元に戻り全員溺れ死んだという場面が聖書の『出エジプト記』にあります。これについて理学博士の三好寿氏は、モーゼが潮汐現象を利用したのだとしています。モーゼたちが紅海を渡るときは干潮だったので無事に通ることができましたが、エジプト軍が渡っているときには次第に潮が満ち、全員が海に沈んでしまったというわけです。記録によるとモーゼが渡ったときからエジプト軍が渡るまでの時間差が6時間なので、この点も潮汐のサイクルと合っています。

 地球上にある水の1・65%は凍っていますが、このうちの90%は南極にあります。南極というと白い氷に閉ざされ世界を思い浮かべますが、昔からそうだったわけではないのです。なんと1億数千年前から2億年前は亜熱帯だったそうです。これはリストゾウルスという虫類の化石やシダ植物の化石が見つかっていることからもわかります。

 南極に氷ができるようになったのは7000万年前くらいで、最も氷が厚かった時期は、400万年前です。現在の厚さは平均1880メートル、最も厚いところでは4500メートルあります。

 さて、最近問題になっている温室効果によって地球の温暖化がすすむと、この膨大な量の氷がとけ海面は上昇することになります。地球全体の気温が3度C上昇しただけでも、水位は現在よりも60メートル上がり、日本の大都市は海面下になってしまいます。仮に南極の氷が一度に全部溶けたとしたら、現在の海面が55〜60メートルは上がるといわれています。しかし、南極の氷がとけるには何世紀もかかり、すぐにいは海面の上昇は起こらないと考えられています。