トリハロメタンとはなにか?

 

 水道水の殺菌、プールの消毒と塩素はいろいろな場面で使われています。

 塩素は水に入ると、さまざまな化学変化の結果、単体の酸素を放出します。単体の酸素は非常に酸化力が強いので、それが殺菌に利用されるのです。

 塩素消毒の目的は、ウイルス、細菌などの消毒・殺菌、植物プランクトンなどの殺藻、アンモニア性窒素、亜硝酸性窒素、第一鉄イオン、流化水素などの酸化。芳香臭、藻臭、硫化水素臭、腐敗臭などの脱臭です。

 河川の汚れのひどかったアメリカでは、水を殺菌するために積極的に塩素をいれました。以来、塩素が入っているから安心して飲めるという考えが常識になっています。

 日本でも、個々の浄水場レベルでは明治時代から塩素消毒が行なわれてきました。

 国全体として義務づけられたのは1957年の水道法制定のときです。塩素消毒の結果、水道水を媒介とする消化器系伝染病は激減し、公衆衛生は目ざましく向上したのです。厚生省は次々と問題になる水質汚染に対応し、その都度水道水の水質基準を見直してきたのです。

 しかし、近年、原水に含まれている有機質の一種であるフミン質などと消毒用の遊離塩素が反応してできるトリハロメタンやそのほかの有機塩素化合物が、発癌性物質として問題になっています。

 1972年、オランダのルーク博士がライン河のみずにトリハロメタンが含まれていることを報告したのにはじまり、74年にはアメリカのハリス博士が、ミシシッピ川から取水されるニューオリンズの水道水の中にトリハロメタンが含まれていること、そしてニューオリンズの住民のガン死亡率が他の水源から飲料水を得ている人よりも高いということを発表しました。

 以来世界的な問題になりはじめたのです。